文部科学省「SciREX事業」にみる政策文書データベースの活用ニーズ—「Overton」が海外先進事例として調査・評価
研究成果が政策形成にどう活かされているかを可視化したい—そのニーズが、日本の政策科学コミュニティでも明確になってきています。文部科学省が推進する「科学技術イノベーション政策における『政策のための科学』推進事業(SciREX事業)」の委託調査報告書では、政策文書データベースの整備が重要課題として取り上げられており、その海外先進事例としてOverton Interdisciplinary Policy Database(現・Overton Index)が紹介されています。
SciREX事業の概要と、報告書におけるOvertonの位置づけをご紹介します。
SciREX事業とは
SciREX事業は、科学技術イノベーション政策において客観的根拠(エビデンス)に基づく政策形成の実現を目指し、文部科学省が2011年度から15年間にわたり推進してきた事業です。その中核的な目標は、「科学(研究)」と「政策形成プロセス」の双方が相互に影響しながら進化する「共進化」の実現にあります。
2025年3月に公開された令和6年度委託調査報告書では、15年間にわたる事業の成果と課題が体系的に整理されており、EBPM(エビデンスに基づく政策立案)推進への貢献や、研究者と行政官の「共進化」に向けた取組状況が詳細に記録されています。
政策文書データベースへの需要—2023年報告書でOvertonが先進事例として調査
SciREX事業の文脈で、政策文書データベースの活用ニーズが具体的に示されたのが、令和4年度委託調査報告書『科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」に資する政策科学データの共用プラットフォーム構築に係る調査』(2023年3月、公益財団法人未来工学研究所実施)です。
同報告書は、研究者・行政官・実務家が活用できる政策科学データプラットフォームの在り方を検討することを目的として、国内外の先進事例を幅広く調査したものです。研究者・行政官へのヒアリングでは、以下のようなニーズが明確に示されています。
- 「CiNiiのような形で、国の政策文書が検索できるとよい」
- 「各省庁が個別にアップしているため、体系的に探すのが大変」
- 「審議会等の資料や議事録も探しにくい」
- 「日本は海外に比べてデータプラットフォームが整備されていないため、政策形成で負けてしまうという危惧がある」
こうしたニーズを踏まえた海外先進事例調査において、グレイリテラチャー(政府文書・シンクタンク出版物・ガイドラインなど)に関するプラットフォームの筆頭事例として取り上げられたのが、Overton Interdisciplinary Policy Database(現・Overton Index)です。
報告書におけるOvertonの評価
同報告書(第2章2.3.2節)では、Overton Interdisciplinary Policy Databaseについて以下のように紹介されています。
- 182カ国・1,000以上の情報源から750万件超の政策文書等を収集する世界最大の政策文書データベース(現在のOverton Indexは188カ国・2,400万件超に拡充)
- 収集した政策文書において参照されている学術論文や調査研究等を自動で抽出できる
- 政策文書で引用されている専門家・研究者の氏名を検索できる
- 社会科学と臨床・トランスレーショナル医療に強みを持つ
- Elsevier、Technopolisグループ、ストックホルム環境研究所などがクライアント
- ミシガン大学図書館でも導入・紹介されている
同データベースが可能にする主な活用として、以下が報告書に明記されています。
- 研究者・大学の立場から:自分たちの研究がどの政策文書で引用されているかを確認し、研究評価のエビデンスとして活用
- ファンディング機関の立場から:資金提供を行った研究がどのような政策インパクトを持つかを把握
- 政策立案者の立場から:特定の政策分野で活動している研究グループや、最も引用されている学術誌の情報を収集
Overton Indexについて
Overton Indexは現在、188カ国・2,400万件超の政策文書・グレイリテラチャーを収録する世界最大の政策文書データベースです。iJapan株式会社は、日本における公式代理店として、トライアルの手配および導入のご支援を承っております。
詳細はOverton製品ページをご覧ください。 トライアル・お問い合わせはこちらからお気軽にどうぞ。
参考資料
- 令和6年度文部科学省委託調査報告書(2025年3月)PDF
- 令和4年度文部科学省委託調査報告書(2023年3月)PDF
- SciREX事業ポータルサイト:https://scirex.grips.ac.jp/



