新しいRDA Toolkitを教えるための6つのヒント
現在ALAが開催しているRDA Lab Seriesのインストラクターである、Kate James氏はカタロガーであり、「RDA in Practice: A Workbook」(現在米国で注文予約受付中)の著者でもあります。
新RDAの教え方を模索しているカタロガーやLIS classroom(Library information serviceクラス) の教員、ALAの特別なLIS classroom(Library inforamtion serviceクラス) の購読ユーザーの方々にアドバイスをお願いしたところ、以下のようなフィードバックをいただきました。
1.RDAの内容を教える前に、ツールを教えましょう。
RDAの内容を理解させる前に、新しいRDAToolkitの使い方を学生に教えましょう。それによって、学生は自信をもって新しいRDAの世界を自分たちで探索できるようになります。学生たちは、RDA Toolkitを効果的に使って、自分で疑問を解決できることが多くなります。例えば、ある人のアクセスポイントに関しての説明を見つけるために「All Search」を使用して該当する言葉やフレーズを検索すると数百件がヒットしてしまうでしょう。しかし、「Extract Title Search」を使用すれば、そのエレメントのページに直接飛ぶことができます。
2.学生にとってなじみのあるものから始めましょう。
これは、RDAが初めてという学生には、日常生活で関わってきたことのあるエンティティやエレメントから始めてもらうことを意味します。例えば、人には生年月日がありますが、それはパスポートに記録された人を表す多くのエレメントのうちの一つです。
また、RDAを既に知っている学生の場合は、彼らが既に持っている旧(original)RDAについての概念のうち、新RDAにも含まれているものについて、その記憶をリフレッシュしてもらうことを意味します。例えば、旧(original)RDAには関係エレメントがありました(例:作成者など)が、新RDAには更に多くのエレメントがあります。ですので、旧RDAを知っているユーザーには、自分たちが既に関係性エレメントの値を記録する方法を知っているのだということを思い出させることが重要です。
3.専門用語を使いましょう。
新しいRDA用語を学ぶことは新しい言語を学ぶことに似ているところがあります。そのため、これらの用語を繰り返し使用して、学生がそれらの用語をよく耳にすることが大切です。既になじみのある概念を使用して新しい用語を説明することも役立つかもしれませんが、一貫してRDA用語を使用することで、RDAの概念とその他の基準との区別についての理解を補強することも重要です。例えば、「vocabulary encoding scheme」の代わりに「controlled vocabulary」という用語を使用したくなるかもしれませんが、これらの概念は同義ではありません。「vocabulary encoding scheme」には「controlled vocabulary」の概念が含まれますが、authority files、databases of identifiers representing agentsなどの概念も含まれます。
4. LRMについての説明については、やりすぎは禁物です。
IFLA Reference Model (LRM)についての基本的な知識は、新RDAを理解するのに役立ちます。しかし、LRMについての詳細情報が多すぎると、LRMとRDAを混同する人が出てくる心配があり、また用語の違いがRDAの学習の妨げになる可能性があります。
Chris Oliverの新書に「Introducing RDA」という本があります。この本の第3章の内容は、LRMに関する情報として十分だと思います。また、第5章では、LRMの概念がRDAに実装されたかが説明されています。教師やトレーナーの方々は、このChrisの本の第3章と第5章を、LRMについて、またLRMとRDAの関係性について何を教えるべきかというガイドとして使用することをお勧めします。
5.新しいRDAがどのように使われることを想定して設計されているかを説明しましょう。
多くの人は、新RDAのエレメント数と、新RDA内のオプションの数に圧倒されます。新RDAは、RDAのどの部分を特定のコミュニティのメタデータの作成に使用するかを特定するアプリケーションプロファイルとしての使用を想定して設計されていることを学生に思い出させることが重要です。アプリケーションプロファイルは何年も前から存在しており、CONSER Standard Record (CSR) RDA Metadata Application Profileなどのように、旧(original)RDAで使用される例が複数あります。
6.Nomenエンティティを無視しないようにしましょう。
Nomenエンティティは奇妙な名前を持ち、すべてのRDAエンティティの中で最も抽象的であり、リンクトオープンデータシナリオにないエージェンシーによって実装が完全にされていない可能性があるため、無視したくなります。ただし、Nomenは、著者がさまざまな種類の作品にさまざまな名前を使用する場合など、長年の目録問題に対するいくつかの巧妙な解決策を提供しています。人々は、Nomenをエンティティとして定義する複雑なモデリングを理解していなくても、Nomenがライブラリコンテキストの内でどのように機能するかを理解できます。新しいRDAの良さをより理解するために、Nomenについて学ぶことをお勧めします。
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NARDACアップデートフォーラム録画公開のご案内
NARDACアップデートフォーラムが、3月29日(2021年3月30日(火曜日) 2:00am-3:00 am JST(日本時間))に無料仮想イベントとして開催されました。
様々な機関に所属するRDA指導者の方々が、参加者の質問に答えるとともに、北米のRDAに関する最新情報を提供しました。
このフォーラムの録画がYouTubeで公開されています。ぜひご視聴ください。
ALA Annual イベントのお知らせ
2021年6月23日~6月29日
今年のALA Annual Conference&Exhibitは、ニュース、教育プログラム、ディスカッショングループ、マーケットプレイス、ネットワーキングの機会、また俳優/作家のStanley Tucciや児童文学作家のStanley Tucciなどの注目の講演者を招いての仮想イベントとして開催されます。追加プログラムについては、カンファレンスのWebサイトで共有されます。
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