折角、高いお金を掛けて人材登用したのに、どうしてTOEIC高スコアなのに英語コミュニケーションできないのでしょか?

⒈ TOEICの解答が常に1つであるから

TOEICのテストでは、設問に対した正しく回答することのテストになります。
実際に第一外国語および第二外国語の外国人とお話しいただくとわかるのですが、流暢な方、辿々しい方、相手もさまざまなです。もちろん正しい文法を使いこなすことは重要なのですが、相手が「正しい」文法を理解していなければ、コミュニケーションできません。正しいコミュニケーションするためには、それ以上に、表情や音色、アクセント、ジェスチャー、他の言い回し等様々な要素で、相手のレベルに合わせたコミュニケーションができることが重要となります。
特に日本人は「正しさ」への意識が高いため、会話のテンポについていけなかったり、考え込んでしまったりして、「話す」ことに苦手意識を持つ人がおおいようで、実際には、相手とのコミュニケーションであることから、特に会話では、文章的な「正しさ」よりも「通じること」の方が遥かに重要な要素となってきます。

⒉ 「話す」ことを「スピーキング」と勘違いしているから

「外国語を話す」スキルを身につけるためには、どのように勉強すれば良いと思いますか?
「外国語を話す」こと重要なスキルの一つですが、「話すこと」はコミュニケーションの手段であることを考えると、このスキルだけでは十分ではありません。
例えば、マクドナルドでの注文を外国語で行うことを考えてください。「話すこと」で、自分の要求を伝えることはできるかもしれませんが、例えば、ポテトをサラダにする、DrinkのMサイズをLサイズにする、ケチャップが欲しい等、本当に自分にとって必要なものは、店員とのコミュニケーションの中で、カスタマイズしてゆくことなります。このコミュニケーション能力の活用は日常生活では実際に頻繁に行われていることです。
そのため、「話すこと」は一方通行の会話でなく、「聞くこと」と合わせて、双方向である必要があります。外国語でのコミュニケーションは、「外国語を聞く」こと「外国語を話す」こと又ははその逆で初めて実現できるものとなります。
一般的にTOEIC等での「TOEIC® Listening & Reading Test」の対策で、リスニングとリーディングのアウトプットについて練習されていると思いますが、それぞれを練習しても、現実の社会では、「聞くこと」と「話すこと」がセットでコミュニケーションとなっているため、どちらか一方の回路だけではコミュニケーションとして成り立たないのが実情と思われます。

⒊ 言語を使う環境にないから

学習言語を頻繁に利用する機会がないと、言語のスキルはどうしても維持が難しくなってきます。確かに、オンラインや英語学校で等のレッスンで、学習言語を練習することはできますが、時間としては、かなり限られてしまうのが実情です。
例えば、仕事で日常的に学習言語を話す機会があれば、学習した情報を実際に利用することはできますが、日本でそのような環境をつくることは難しいこととなります。
学習対象言語を学習対象言語として、日本語を介することなく、理解し、会話することが重要なポイントですが、圧倒的に実践練習量が不足しているため、いざというときに学習言語を利用できない状況を引き起こすものと考えられます。

TOEIC対策の学習は、実際の語学力に関係があるか?

TOEICで高スコアを取っても英語を話すことができないということは、TOEIC対策の学習は実際のご学力アップに繋がらないのでしょうか?TOEIC対策の学習は実際の語学力に大いに関係があります。
どのように関係があるのかを提示させていただきます。

⒈ リーディングとリスニングは外国語を「話す」ための基礎
「言語を話す」ためには、前述したとおり、スピーキングのスキルだけでは足りません。コミュニケーションを行うためには、リーディングとリスニングのスキルが必要となります。
まず、リーディングの基礎になる文法の知識と単語力、そしてリスニングの基礎になる英語の音やリズムを理解する力、これらの基礎があって初めて、「言語を話す」準備が整うことになります。

⒉ TOEICは英語でのコミュニケーションスキルを測定する試験
TOEICの正式名称は「Test of English for International Communication(国際コミュニケーション英語能力テスト)」となります。名称でもわかるように、コミュニケーションスキルを測定する試験となります。リーディングでもリスニングでもビジネスシーンを含む日常でのコミュニケーションを想定した設問が中心となっております。このように、TOEICのための学習を行うことで、「言語を話す」目的であるコミュニケーションに必要なスキルを学べるということになります。

なぜACTFL-LTIのテストが有用か?

ACTFL-LTIのテストでは、Proficiency(言語運用能力)に重点を置いたテストであるため、「伝わる言語」が評価の基準になっております。そのため、4技能(スピーキング、リスニング、リーディング、ライティング)のテストはありますが、文法等のテストはそれぞれの中で含まれておりません。
このACTFL-LTIのテストの目的が、日常生活の中での言語運用能力をチェックすることから、高い評価を得るためには、ネーティブにとって、自然な言い回しだったり、自然で理解可能な意志伝達手段であることが求められれます。特に、意志を伝達するための能力は、単語、センテンス、段落、文章という形で、言語学習者の能力により変わってきます。
有資格のレイター(評価者)が、これらの能力を公開されているACTFL基準に基づいて、適正に評価する試験となります。
その意味では、TOEIC等でコミュニケーションの基礎を学び、その応用として、言語運用能力についてACTFL-LTIのテスト等で実現することが、日常生活での言語運用能力を測定できるものとなります。