1. COVID時代の世界の求人状況

2019年のACTFL(全米外国語教育協会)の分野別の外国語のスキルの必要性の調査によると、特に顕著なヘルスケア、教育や貿易の分野で60%前後が将来にわたる外国語のスキルの必要性を感じているという結果を示しています。また、Europe Commissionの2017年のレポートによると、母国語以外に外国語を習得している事実があり、EU全体で、64.6%、英語が母国語の英国ですら、34.6%の人々が母語以外の外国語を1つ以上習得して働いています。
出典:https://ec.europa.eu/eurostat/statistics-explained/index.php?title=Foreign_language_skills_statistics

この傾向はコロナ禍で、さらに強まっており、USの調査によるとバイリンガルのリモート業務のニーズが30%も上昇しています。これらの傾向は、EUやUSだけでなく、確実に世界全体の傾向となってゆくことが予想され、日本国内においても、COVID19時代に求められる人材は、実務をこなしながら、組織と海外の橋渡しができる人材と言われています。

2. 入社試験や社内の選抜試験について

一般的に大企業の入社試験では、1.エントリーシート・履歴書の記入と送付、2.筆記試験、3.会社説明会、 4.面接(概ね2-3度)、5.内定等のステップを踏み、中小企業でも同様に、1.エントリーシート・履歴書記入、2.会社説明会・筆記試験、3.面接(おおむね2、3度)、4.内定というステップとなります。筆記試験は言語、非言語、一般常識(教養試験)と適性検査で、商社などでは英語の試験もあります。
一般的な筆記試験としては、様々なテストがありますが、適正検査としてSPIなどを通じて能力検査、性格検査などを行うことが多いようです。
また、社内での選抜テストでは、候補者の能力・適性を測る際に規格化されたテストを用いることがありますが、それは語学についても同じことが言えます。語学テストを採用前の段階に設けるメリットとしては、候補者のふるいがけ、また各候補者の区別やより細かな見極めを行うことができるというところにあると言えます。語学を含む特定分野のテストを課すという方法は、候補者の能力について書かれた履歴書やカバー・レターからよりも現時点でより正確な実情を把握できるということも利点として挙げられます。

3. 語学テストとは

語学テストは、一般的にハードスキルとソフトスキルの分類上では、ハードスキルの評価のカテゴリーに属します。語学テストは、受験者が対象言語をさまざまな状況で活用できる能力を評価するために用いられます。受験者の対象言語構造、語彙、文法に関する知識を評価することを目的としており、通常、聞く(listening)・読む(reading)・話す(speaking)・書く(writing)の各技能に分け行われます。
最も正確な言語能力評価はパフォーマンスベースで行われ、個人の言語レベルを最良な形で判断できるように、さまざまなシナリオやロールプレイで技能をテストします。シナリオやロールプレイは、聴覚や文学的な理解に基づいて、受験者が快適に言葉を発することができるかどうかを評価するために、実技をベースとした対話型のものになることが多いようです。
語学テストは、グローバル化している現在では、入社時の語学テストだけでなく、昇進時、海外駐在員派遣時、派遣中、派遣後の能力チェック等含めて、各企業でさまざまなルールの元、運用されています。
出典:https://www.pipplet.com/when-to-test-language-proficiency-in-your-recruitment-process

4. 語学テストの種類

テストには一般的に4つの種類のテストがあります。
・言語運用能力テスト(Language Proficiency Tests)
試験対象言語をどのように習得したかに関係なく、その人のスキルのレベルを測定します。日本語ではJLPT、 英語ではIELTSやTOEFLなどが該当します。

・言語適性テスト(Aptitude Tests)
特定の言語をどれだけ使いこなせるかではなく、一般的な言語スキルをどれだけ習得しているかを測定するものです。言語分野のSPIテストなどが該当します。

・診断テスト(Diagnostic Tests)
通常の言語運用能力テストは、言語能力の全体像を評価するものです。これに対して、診断テストはスキルセットにおける具体的な長所と短所を明らかにし、改善策を明示するために使用されます。語学の授業で行う確認テストなどが該当します。

・クラス分けテスト及び学力検査(Placement & Achievement Tests)
語学学習の場でのみ使用されるテストとなります。クラス分けテストは、同じような語学スキルを持つ学習者をグループ分けするために、スキルを測定します。学力検査は、ある一定期間の学習者の上達度を測定します。語学についての習熟度別クラス編成のためのテスト等が該当します。

出典:https://languagetest.com/language-testing/types-of-language-testing/

5. 仕事で必要となる外国語スキル

現在仕事で必要になる外国語スキルは、日本国内または海外といった場所や業種にもよって異なります。例えば、外国人にコンビニの店員として働いてもらうケースでは、日本語の言語習得の4技能のうち、主に、ListeningやSpeakingができれば、仕事の大半をこなすことができる可能性があります。
また、他の仕事で活用可能な外国語スキルとしては、外国語のコミュニケーションを利用したヒューマン・インテリジェンス(Humint)を利用した情報収集及び分析を行うことで、より精度の高い、予測ができると言われており、様々なツールや分析手法とともに日本企業の競争力強化に向けた重要なファクターと言われています。
仕事で必要となる外国人スキルとして、総体としては、Cambridge Assessment Englishの調査によると、英語では、言語習得の4技能(Listening, Speaking, Reading, Writing)をベースに、チームでの会議でのディスカッションで、自分の意見を話したり、他の人の意見を聞いたりして、チームの意見を集約して業務を遂行できることが求められています。また、日本から海外に行く海外駐在員のケースでは語学能力と同様に戦略的な判断、明確な判断軸、納得させる能力などの「言語化能力」が必要になると言われています。

6. 企業で語学テストを行うための7つの利点

企業にとって、語学テストは選抜プロセスを円滑にする数多くの利点があります。

1.仕事の成功:適切な語学レベルを持つ人材を選ぶことは、それらの言語を利用する仕事での成功につながります。また、テストの点数が高い人ほど辞めにくいという研究結果もあり、社員の定着率が上がり、職場の生産性も向上します。
2.品質保証:語学テストは、仕様を満たす高品質なアセスメントにより作成されており、厳密かつ反復的なプロセスに従い、それぞれのテストを開発しております。また、テスト開発のプロセスの全体を通しての一貫性と厳密性を維持し、評価内容についても、公平性や偏りや感受性を検証しています。またテストの利用期間中は、有効性と信頼性を維持できるように、テスト内容の維持と更新を行っているため、正確な結果を提示します。
3.標準化:語学テストは、標準化されたガイドラインを用いて、候補者の語学力レベルを評価します。その結果、候補者の能力をより具体的に把握することができ、その仕事に最も適した候補者を選ぶことが容易になります。
4.比較可能:語学テストは、世界で通用する各言語共通な基準を用いて、候補者を簡単に比較することができ、企業側の意思決定プロセスを容易にします。
5.公平な評価:テストは自動採点、またはライセンスに更新が必要な資格を有する第三者により、評価されますので、結果に偏りが生じる心配はありません。
6.面接では候補者の内面に向き合い、最適な候補者かどうかを判断できる:面接の前でも後でも、正確な語学テスト(言語運用能力テスト)を利用することで、面接時に言語の能力を同時に評価することなく、候補者の他の仕事に関連するスキルや候補者のやる気など候補者の内面に集中することができます。これにより、候補者のことを知ることに、より多くの時間を費やすことができます。
7.公正な能力評価:自己申告や観察による語学力ではなく、外国人にとっての日本語、外国語が利用できる日本人も含めて各言語で公平な基準に照らして候補者を評価し、候補者ごとに証明書も提供するため、採用・昇進・選抜等の正当性がより高まります。

7. 結論

世界各国で外国語のスキルを有する従業員のニーズは高まっており、コロナ禍でも外国語スキルを有するリモート業務のニーズは引き続き高まっています。実際の外国語スキルを利用する仕事では、言語の4技能をベースに、ミーティングやプレゼンテーション等など、戦略的判断、明確な判断軸、納得させる能力など「言語化能力」が要求されます。同様にコミュニケーションから生まれる価値ある情報を仕事に活かすことが求められます。仕事で利用可能な現時点での外国語スキルの測定については、候補者が過去に受験し履歴書に記載されたTOEICや英検などの個別技能のテストでなく、より実践的かつ正確なスキルを把握するために、現時点での外国語でのコミュニケーション能力及び言語運用能力の測定が重要であろうと考えます。これらのテストを採用、昇進、選抜プロセスに組み入れることで、会社にとっては、面接時に候補者の人格やスキル、所作や対応などに焦点を当て公平に評価し、本当に必要な人材を選抜できるとともに、候補者にとっても会社側で、現時点での仕事で必要な外国語スキルを把握した上で、採用、昇進、選抜のための面接に臨むことで、自分の考えや自分のアピールを明確に伝えることができることで、双方にとって公平でオープンな関係を構築できると考えます。