
公正な研究を目指す研究機関と研究者に向けた科学論文の不正画像自動検出システム
公正な研究への取り組みは、学術界で大きな注目を集めています。従来、膨大な画像を一枚ずつ確認するには、専門的な知識と多大な時間および労力が必要でした。ImaChekは、Web上で最新のアルゴリズムを活用し、電気泳動画像、蛍光顕微鏡画像、免疫蛍光染色画像など、生命科学に関連する画像の「使いまわし」や「改ざん(不適切な画像操作)」を自動的に検出します。また、検出結果はPDF形式で出力することが可能です。
News
今年6月より、さらなる使いやすさの向上を目指し、ImaChek Version 2をリリースいたしました。
Version 1を基盤として、複数のAIモデルの組み込みとアルゴリズムの最適化により、解析精度が向上し、解析時間の短縮を実現しました。
ImaChek Ver.2の主な特徴は以下の通りです:
・ユーザーインターフェイスを大幅に改善し、操作性の向上と検出画像比較時の視認性を強化
・Global Repository(PubMed)との連携により、外部リソースとの比較が可能
・日本語での検出レポートの提供が可能
・機関でのご利用においては以下の機能を提供:
①管理者がユーザーアカウントや利用統計を適切に管理できる
②ご希望に応じて、APIを利用して機関リポジトリと連携し、画像解析を実施することが可能

論文の品質担保及び向上
論文投稿前に画像をチェックすることで、研究画像が不正と疑われるリスクを低減し、論文の信頼性と品質を向上させます。

レピュテーションリスクの軽減
研究不正発生によるレピュテーションリスクやコストは甚大なため、事前チェックで研究不正を防止します。

出版までの時間短縮
手動で行っていた画像検査を自動化することで、出版作業の効率化を図り、迅速な出版が可能になります。
ImaChekによる不正画像の解析
画像の使いまわし解析 (Duplication / Reuse)
2016年のNature Newsにて報告された調査によると、1報の学術論文内で画像を不正に使い回す頻度が2000年前半に2倍に増加しました。
論文中に使用する画像データの増加に伴い、意図せずに誤って研究画像を使い回してしまう事も考えられます。その場合、研究機関や研究者の信頼を損なってしまいます。ImaCheckでは、学位論文・学術論文における画像の使い回しを解析し検出します。
不適切な画像操作の解析(Manipulation)
2015年のNature Newsによると、EMBO Press誌では、投稿された論文の約20%に不適切な画像処理が含まれていると報告されています。
不適切な画像の改ざんには、「装飾的な画像処理」など、画像の見栄えを良くするための画像処理による初心者が陥りやすい意図しない画像不正と、「Cut & Paste」などの意図的な画像不正があります。画像の使いまわしと同様に、現実的な防止策の実施が求められています。
ImaChekでは、学位論文や学術論文における意図しない画像不正をはじめ、意図的な画像の改ざんなどを解析・検出します。
*ImaChekの検出精度が低下するケース
・複数の画像が重なり合ったマージ画像
・解像度が低い画像や極端に小さい画像
・画像同士や画像と文字の境界線が不鮮明な場合
・同一画像から切り取られた部分的な画像
(※同一画像内から切り取られた部分的な画像は、ノイズが同一であるため、検出精度が低下する場合があります)
同一画像A内での切り貼りの例

ImaChekは、簡単操作で瞬時に解析
学術論文及び原画像をアップロードすると自動的に画像が抽出され、不正画像と思われる画像の検出を行います。
最終的な検出結果は、PDF形式のレポートとしてダウンロードできます。
1st Step
画像(論文ファイル)をアップロード
2nd Step
画像の解析
3rd Step
PDFレポートのダウンロード
画像の使いまわし検出例
画像の使い回しには、「画像全体の使いまわし」と「画像の一部を使い回す」の2種類があります。
・実際に撤回された論文を用いた「画像の一部を使い回す」検出例

「重ね合わせ」機能を利用して2枚の画像を重ね合わせる事が可能です。
下記画像のように、類似箇所を自動的にマッチングできます。

・「画像全体の使いまわし」検出例
検出された疑わしい画像を「回転機能」と「重ね合わせ機能」を使って検証します。

「重ね合わせ」機能で確認したところ、2枚の画像は完全に一致します。

画像の改ざん検出例(カット&ペースト)
画像の改ざんには、「装飾的な画像処理」のように画像の見栄えを良くするための意図しない改ざんと、「カット&ペースト」のような意図的な改ざんがあります。ImaChekでは、3種類で21個のフィルターを活用して改ざん箇所を特定します。
・オリジナル画像の一部(青枠)を切り取り、別の画像に貼り付けた箇所(赤枠)が検出されました。
オリジナル画像

改ざん画像(コピー&ペースト)

検出結果

貼り付けた画像の周囲に、不自然な四角形の枠が検出されました(赤丸で表示)
偽陽性に関して
画像と言う特性上、画像の解像度、画像のサイズによっては、実際には不正画像でなくとも一定の割合で検出結果に「偽陽性」が含まれる場合があります。これは、不正画像の見逃しを防ぐためにある程度「偽陽性」を容認して、ImaChekが検出する件数をあげている為です。明らかに不正画像でない画像検出結果は、ImaChek内の「非表示機能」を利用して、検出結果から排除する事が可能です。
「偽陽性」:実際には不正画像でなくともImaChekが不正画像として検出してしまう画像
最終的な不正画像の判断は、原画像を利用して、ImaChekの検出結果と合わせて、人間の目視による判断を行ってください。
ImaChekシステム推奨環境
*IGP Service Pte. Ltd社は、ImaChekの開発会社であるエルピクセル株式会社より、ImaChekの技術移管を行い、2022年1月よりIGP Service Pte. Ltd社が新しいImaChek(New ImaChek)の全ての開発、運用、販売を行っています。