大学名 | 学校法人 大手前学園 |
利用人数 | 1000 名 |
導入製品 | Turnitin Feedback Studio |
導入時期 | 2014年 |
導入担当者 | 大手前学園 情報メディアセンター 課長 西尾 信大 様 |
導入の経緯
本学園は、四年制大学、短期大学、専修学校があり、四年生大学は通信教育課程(通信大学)も設置しています。もともと、四年制大学の初年時教育でレポート等のライティング指導を充実させる取り組みをしており、独自のeラーニング教材を用いた教育に取り組んでいました。また、通信大学でも100科目
以上のオリジナル教材を制作しており、大学内で著作権の取り扱いについて適切に行うべきという雰囲気もありました。これらのことから、学生がレポート執筆をするにあたり、正しい引用の仕方や出典表記ができるように指導するためのツールとして導入することを決定しました。
また、通信大学ではLMSを用いて課題提出を行いますが、レポート課題はファイルやテキストデータでの提出となります。学生は遠隔で孤独な状態で学習に取り組むことになり、熟慮することなく他者の著作物から剽窃する可能性が捨てきれず、対面指導にかわる手段として活用しています。
課題と改善点
通信大学では、スクーリングで知り合った学生どうしや家族で同時に在席している場合など、お互いに課題を教え合っていることがうかがえるレポートが提出されることがあります。ピアサポートという観点で対応できるレベルなら歓迎される学習方法ですが、レポートの核となる部分がほぼ丸写しということもあり、対応に苦慮しています。友人等のレポートの参照をどの程度まで許容するのかなど、今後慎重に対応することが必要で、その際のエビデンスとしてOriginalityReportの類似性パーセンテージを一つの指標として用いることができないかを検討しています。
また、レポート解答例の共有や売買をするサイトも確認しており、学生の動向を慎重に注視しています。レポート自体は学生の著作物ですので、共有・売買行為をどのように抑止するかが課題です。またこういった共有・売買サイトへの働きかけについても検討が必要と考えています。
選定のポイント
初年次教育での統一した取り組みのための導入を検討していたことから、個別にインストールするのではなく学園全体で使用できるライセンス形態を検討していました。また通信大学は教員も全国各地におられ、クラウドサービスであることが望ましく、チェック対象として対応しているファイル形式も豊富なTurnItInを選定しました。
活用状況
学生によっては、小中高校で充分なライティング指導を受けていない場合もあり、どういったレポートを書けばいいのかのイメージを持てない場合もあります。また調べ学習を「書籍やwebで調べたことをまとめる」ことだと勘違いしている学生もおり、この場合、OriginalityCheckの類似性は100%近い値になることもあります。
こういった学生に対しては、正しいライティングとはどのようなものか、より良いレポートのためにどう修正すべきかを理解させなければなりません。そこで、OriginalityCheckの結果をもとに指導するだけでなく、チュータによるライティングアドバイスの取り組みや本学が独自に制作した「レポートの書き方」eラーニング教材も併用した効率的なライティング指導につなげています。
OriginalityCheckのような機能・ツールを便宜上「コピペチェック」と呼ぶこともありますが、本学ではライティング指導のためのツールとして位置づけています。コピペ行為を炙り出すのではなく、他人の著作物を使ったり参考にしたりする際に適切なルールに基づいて引用表記や持論の根拠として用いることができるように指導するための、補助的な教育ツールです。
こういった使用方法の徹底のため、教員ユーザアカウントは申請制で発行しており、初回使用時には説明会を義務付けています。
その際のポイントとして
・LMSに提出されたレポートを効率よく指導するための設定・使用方法
・レポートの類似性が高い場合に想定される原因(学生行動)と指導例
・学生の不正行為と未熟なライティングスキルに対する対応の違い
に留意して活用いただくことをお願いしています。
今後の要望
オンラインシステムということで、日々バージョンアップされており、どんどん使いやすいシステムになっていきます。
既にLTI対応はされているとのことですが、今後各種LMSや国内の教務システム等との連携が容易になるとありがたいです。
メニュー等を日本語化される際のご苦労が伺えますが、まだ少々クセがあるようです。
国内大学教員の声なども参考に、より分かりやすい改善を期待しております。